ゆるく、キリマンジャロへの道

重量に逆らい、食材を山に持ち込み続ける 変態(隊)パーティーの記録。

ゆるく、キリマンジャロへの道

アフリカ大陸最高峰、キリマンジャロを目指したい。
いつか。そう、いつの日か。

重量に逆らい、食材と機材を山に持ち込み続ける、
変態(隊)パーティーの記録。


”煮込みハンバーグ”と土砂降りの地蔵岳

梅雨の鳳凰三山地蔵岳

 

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昨年の6月。

梅雨が抜けるか抜けないかの微妙なタイミング。

天候がやや気になったものの、久々にうずうずしたので山行を決定。

地蔵岳山頂のオベリスクが見たくて、

ちょいと山梨まで足を伸ばしたのでした。

 

南アルプス北東部に位置する地蔵岳(2,764m)は、

観音岳薬師岳に並び、いわゆる鳳凰三山の一角をなす、

れっきとした百名山のひとつ。

 

森林限界を越えてみえてくる、ガレ場。 

いつしか登る山を選ぶとき、”そそるガレ場があるか”を無意識に探しながら

選ぶようになった気がする。

 

この山を選んだ時もそう。

ガレ場に加え、山頂付近のオベリスク。即決でした。

 

この時の山行は1泊2日を予定。

山頂手前の鳳凰小屋で1泊、登山当日か、翌朝一番で

山頂にアタックする予定でした。

 

が、、、しかし。まさかオベリスクどころかガレ場さえ踏めず、

帰ってくることになるとは・・。

 

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青木鉱泉からドンドコ沢沿いを進む

中央道を快調に飛ばし、韮崎ICでインターを下りて

登山口の青木鉱泉へ。

 

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青木鉱泉の佇まいは「鴨居造り」という釘を使わない建築手法で、明治2年の建築を昭和25年に復元建築したそう。


青木鉱泉地蔵岳の登山口に位置する鉱泉旅館。

その歴史は古く、源泉自体は江戸時代から湯治などに使われていたらしい。

 

鉱泉近くの駐車場(有料750円/日:青木鉱泉管理)に車を止め、いざ登山開始。

登山開始時点の天気は快晴。そう。ここまでは・・・。

 

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登山口からは「ドンドコ沢登山道」を選択。

 

基本的に地蔵岳を源流として流れる、

ドンドコ沢沿いを平行して進む。

 

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登山口付近の砂防ダム。補強工事中でした。登山口から暫くは人工物もちらほら。


その日が偶然なのか、いつもそうなのか、

登山道ではほぼ他の登山者と会うことはなく、我々だけ。

静かな山行。

 

青木鉱泉から1時間半ほどで、最初のポイント、

南精進滝入り口の分岐へ。

 

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南精進滝や、その先にある五色ノ滝もそうですが、

登山道がかなり水場に隣接しており、

他の山と比べると水場にはかなり恵まれていると言える。

 

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ちなみに、地蔵岳への山行、

日帰りピストンで臨む登山者も多く、我々のような1泊2日は

鳳凰三山への縦走狙いで来る人たちがほとんど、とのこと。

 

我々の場合、

「山でマジなメシを作って焼酎を飲む」

ということを目的のひとつに置いているので

どうしても泊地が必要になってしまうのですが。

 

天気急変

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山の天気は変わりやすい、

というのはやはり本当で、覚悟はしていましたが

なにもこの日を選ばなくても、というのが最初の感想でした。

 

南精進滝から進んで約30分、周囲に霧が。

登山開始時点で快晴だった空がにわかに暗くなり、

雨こそ降り出さないにしても、気温が降下、一転視界がぼんやり。

 

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その日の韮崎周辺の天気予報は晴れ、降水確率は0%。

しかし、そこは山。まあ分からないもんです。

 足早に鳳凰小屋を目指すことに。

 

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五色ノ滝。鳳凰小屋手前1時間の地点。

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小屋の30分手前地点には開けた沢が(ドンドコ沢上流)。天気さえ良ければここでゆっくり休憩もしたいところだったが。。。

 

山頂断念の失意と・・・煮込みハンバーグ

 

南精進滝分岐から約3時間。

五色ノ滝から1時間ちょっと。小雨がぱらつく中、

鳳凰小屋に到着。

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鳳凰小屋は地蔵岳山頂の直下、2,400m地点に位置する、

収容人数150名程度の山小屋。

鳳凰小屋

予約・問い合わせ:鳳凰小屋連絡所

TEL : 0551-27-2018 (8:00-19:00)

春期 4月末~6月末(要予約) 夏期 7月~10月末 冬期 11月~年末年始(要予約)

 

水場もあり、山めしをメインとする我々からすると便利な環境でした。

 

時刻は13時。

山頂までは+1時間弱。ピストンで帰ってくるまで1時間半。

さて、山頂アタックはどうするか。

小雨であれ、本日中に決行するか。

 

パーティー一同、考え抜いたあげく(10秒)、

その日の山頂は断念。

 

もう、めし作って飲もうと。

そういうことになりました。

 

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メニューは、ハンバーグ。

そして、ご丁寧にも飯ごうを持ち込んでの白飯。

米を炊き、ハンバーグをこねるところから、作ります。

 

材料は以下の通り。

 

ハンバーグの種(ひき肉+塩・こしょう)を冷凍したもの×2つ

煮込みハンバーグ(市販の物)×1つ

米(2合)

 

ハンバーグの種はジップロックに冷凍して持ち込み。

登山中に自然解凍を狙ったものの、気温の急降下も相まって、半解凍。

まあこれもご愛嬌です。

 

そして、どうせなら煮込みを、ということで

ひとつだけ市販の煮込みハンバーグをデミグラスソース欲しさに購入。

このソースを各ハンバーグでシェアする、ということにしました。

 

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山小屋でひき肉をこねこね。なんとも奇異な光景。

そして米。

我々のモットーとして。米だけは妥協しないという掟があるので、

 

米はどんな環境でも、一から炊きます。

なので、飯ごうを持ち込みます。

 

生米から、バーナーに火をかけて、じっくり炊き込みます。

 

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ほんとは飯ごう持ち込んでるので、

薪をくべて、直火で行きたいところなんですが、そこは山。

「山でどうしても米を炊きたい」場合は、バーナーで直に炊く、という

意味分からないスタイルになるわけです。

 

ちなみにこの尖ったスタイルをやり過ぎたおかげで、

山での飯ごう炊飯、かなり極めまして、

どんな環境であれいまだ失敗したことありません。

 

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ハンバーグはそのまま行くもよし。後半は煮込んでもよし。

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霧でかすむ地蔵岳山頂をうらめしげに見つめながら、

目の前には肉汁あふれるハンバーグ。

 

もはや何のシチュエーションか意味不明ですが、

やはり旨い食べ物はどんな環境であれ幸せにする力を持っているようで、

旨ければ全てよし。だから山料理はやめられない。

 

 

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鳳凰小屋からの地蔵岳山頂。うっすらとオベリスクが・・・・

 

ちなみに、その夜、

未明にかけて土砂降り。

 

山小屋の天井を雨音がたたき、その音で起きるほどの豪雨に見舞われ、

翌朝の山頂アタックは泣く泣く断念。

オベリスクを拝めず、山小屋にハンバーグを作りにいった、というだけで

山を下りることに。

 

まあそんなこともある。

だから山は面白い。

 

いつか。地蔵岳のリベンジを夢見て。