ゆるく、キリマンジャロへの道

重量に逆らい、食材を山に持ち込み続ける 変態(隊)パーティーの記録。

ゆるく、キリマンジャロへの道

アフリカ大陸最高峰、キリマンジャロを目指したい。
いつか。そう、いつの日か。

重量に逆らい、食材と機材を山に持ち込み続ける、
変態(隊)パーティーの記録。


”煮込みハンバーグ”と土砂降りの地蔵岳

梅雨の鳳凰三山地蔵岳

 

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昨年の6月。

梅雨が抜けるか抜けないかの微妙なタイミング。

天候がやや気になったものの、久々にうずうずしたので山行を決定。

地蔵岳山頂のオベリスクが見たくて、

ちょいと山梨まで足を伸ばしたのでした。

 

南アルプス北東部に位置する地蔵岳(2,764m)は、

観音岳薬師岳に並び、いわゆる鳳凰三山の一角をなす、

れっきとした百名山のひとつ。

 

森林限界を越えてみえてくる、ガレ場。 

いつしか登る山を選ぶとき、”そそるガレ場があるか”を無意識に探しながら

選ぶようになった気がする。

 

この山を選んだ時もそう。

ガレ場に加え、山頂付近のオベリスク。即決でした。

 

この時の山行は1泊2日を予定。

山頂手前の鳳凰小屋で1泊、登山当日か、翌朝一番で

山頂にアタックする予定でした。

 

が、、、しかし。まさかオベリスクどころかガレ場さえ踏めず、

帰ってくることになるとは・・。

 

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青木鉱泉からドンドコ沢沿いを進む

中央道を快調に飛ばし、韮崎ICでインターを下りて

登山口の青木鉱泉へ。

 

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青木鉱泉の佇まいは「鴨居造り」という釘を使わない建築手法で、明治2年の建築を昭和25年に復元建築したそう。


青木鉱泉地蔵岳の登山口に位置する鉱泉旅館。

その歴史は古く、源泉自体は江戸時代から湯治などに使われていたらしい。

 

鉱泉近くの駐車場(有料750円/日:青木鉱泉管理)に車を止め、いざ登山開始。

登山開始時点の天気は快晴。そう。ここまでは・・・。

 

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登山口からは「ドンドコ沢登山道」を選択。

 

基本的に地蔵岳を源流として流れる、

ドンドコ沢沿いを平行して進む。

 

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登山口付近の砂防ダム。補強工事中でした。登山口から暫くは人工物もちらほら。


その日が偶然なのか、いつもそうなのか、

登山道ではほぼ他の登山者と会うことはなく、我々だけ。

静かな山行。

 

青木鉱泉から1時間半ほどで、最初のポイント、

南精進滝入り口の分岐へ。

 

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南精進滝や、その先にある五色ノ滝もそうですが、

登山道がかなり水場に隣接しており、

他の山と比べると水場にはかなり恵まれていると言える。

 

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ちなみに、地蔵岳への山行、

日帰りピストンで臨む登山者も多く、我々のような1泊2日は

鳳凰三山への縦走狙いで来る人たちがほとんど、とのこと。

 

我々の場合、

「山でマジなメシを作って焼酎を飲む」

ということを目的のひとつに置いているので

どうしても泊地が必要になってしまうのですが。

 

天気急変

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山の天気は変わりやすい、

というのはやはり本当で、覚悟はしていましたが

なにもこの日を選ばなくても、というのが最初の感想でした。

 

南精進滝から進んで約30分、周囲に霧が。

登山開始時点で快晴だった空がにわかに暗くなり、

雨こそ降り出さないにしても、気温が降下、一転視界がぼんやり。

 

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その日の韮崎周辺の天気予報は晴れ、降水確率は0%。

しかし、そこは山。まあ分からないもんです。

 足早に鳳凰小屋を目指すことに。

 

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五色ノ滝。鳳凰小屋手前1時間の地点。

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小屋の30分手前地点には開けた沢が(ドンドコ沢上流)。天気さえ良ければここでゆっくり休憩もしたいところだったが。。。

 

山頂断念の失意と・・・煮込みハンバーグ

 

南精進滝分岐から約3時間。

五色ノ滝から1時間ちょっと。小雨がぱらつく中、

鳳凰小屋に到着。

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鳳凰小屋は地蔵岳山頂の直下、2,400m地点に位置する、

収容人数150名程度の山小屋。

鳳凰小屋

予約・問い合わせ:鳳凰小屋連絡所

TEL : 0551-27-2018 (8:00-19:00)

春期 4月末~6月末(要予約) 夏期 7月~10月末 冬期 11月~年末年始(要予約)

 

水場もあり、山めしをメインとする我々からすると便利な環境でした。

 

時刻は13時。

山頂までは+1時間弱。ピストンで帰ってくるまで1時間半。

さて、山頂アタックはどうするか。

小雨であれ、本日中に決行するか。

 

パーティー一同、考え抜いたあげく(10秒)、

その日の山頂は断念。

 

もう、めし作って飲もうと。

そういうことになりました。

 

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メニューは、ハンバーグ。

そして、ご丁寧にも飯ごうを持ち込んでの白飯。

米を炊き、ハンバーグをこねるところから、作ります。

 

材料は以下の通り。

 

ハンバーグの種(ひき肉+塩・こしょう)を冷凍したもの×2つ

煮込みハンバーグ(市販の物)×1つ

米(2合)

 

ハンバーグの種はジップロックに冷凍して持ち込み。

登山中に自然解凍を狙ったものの、気温の急降下も相まって、半解凍。

まあこれもご愛嬌です。

 

そして、どうせなら煮込みを、ということで

ひとつだけ市販の煮込みハンバーグをデミグラスソース欲しさに購入。

このソースを各ハンバーグでシェアする、ということにしました。

 

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山小屋でひき肉をこねこね。なんとも奇異な光景。

そして米。

我々のモットーとして。米だけは妥協しないという掟があるので、

 

米はどんな環境でも、一から炊きます。

なので、飯ごうを持ち込みます。

 

生米から、バーナーに火をかけて、じっくり炊き込みます。

 

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ほんとは飯ごう持ち込んでるので、

薪をくべて、直火で行きたいところなんですが、そこは山。

「山でどうしても米を炊きたい」場合は、バーナーで直に炊く、という

意味分からないスタイルになるわけです。

 

ちなみにこの尖ったスタイルをやり過ぎたおかげで、

山での飯ごう炊飯、かなり極めまして、

どんな環境であれいまだ失敗したことありません。

 

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ハンバーグはそのまま行くもよし。後半は煮込んでもよし。

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霧でかすむ地蔵岳山頂をうらめしげに見つめながら、

目の前には肉汁あふれるハンバーグ。

 

もはや何のシチュエーションか意味不明ですが、

やはり旨い食べ物はどんな環境であれ幸せにする力を持っているようで、

旨ければ全てよし。だから山料理はやめられない。

 

 

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鳳凰小屋からの地蔵岳山頂。うっすらとオベリスクが・・・・

 

ちなみに、その夜、

未明にかけて土砂降り。

 

山小屋の天井を雨音がたたき、その音で起きるほどの豪雨に見舞われ、

翌朝の山頂アタックは泣く泣く断念。

オベリスクを拝めず、山小屋にハンバーグを作りにいった、というだけで

山を下りることに。

 

まあそんなこともある。

だから山は面白い。

 

いつか。地蔵岳のリベンジを夢見て。

 

 

 

 

チーズフォンデュ的なものと”秘湯”煙草屋旅館 〜那須岳縦走〜(2) 

朝日岳より隠居倉、そして”秘湯”煙草屋旅館へ

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朝日岳山頂をくだり、稜線をたどって隠居倉へ。

名前は山っぽくないですが、隠居倉自体も標高が1819m。

 

それにしても隠居倉って面白い名前。

名前の由来が気になります。

 

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隠居倉から煙草屋旅館への下りはかなり急勾配。

斜面は全面に残雪。これはさすがにアイゼンがないと滑り落ちる危険が高く、

全員アイゼン着用。

 

下っていて思ったが

峰ノ茶屋の分岐にて、半ばフィーリングで朝日岳経由の右回りを選んだものの、

仮に左回りを選んだ場合、これを煙草屋から隠居倉山頂へ逆ルートとなると

正直かなりきつかった。

 

地図情報によると

下りが30分程度なのに、上りの平均タイムは約1時間。

且つ雪の斜面となるとプラスどれくらいになるんだろう。

(それはそれで面白いが)

 

 

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峰ノ茶屋あたりから気付いてはいたが、

那須岳周辺は場所によって濃度の違いこそあれ、常に硫黄臭がつきまとう。

活火山であることを考えるとそれもそもはず、ではあるものの、

改めて周辺が火山地帯であることを再認識する。

 

隠居倉から急斜面を下るとさらに匂いがきつくなり、

点在する噴気孔からは白煙が。

 

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噴気孔周辺の泥。泥パックのように粒子がきめ細かい。


噴気孔から流れる温泉に手を触れるとかなり熱々。

まさに天然温泉そのもの。温泉付近の泥をさわるとさらさらでした。

何かの温泉成分と化学変化的なものを起こしてるんでしょうか。

 

さて、隠居倉をくだって30分強。いよいよ泊地、

煙草屋旅館へ到着です。

 

 こんな山小屋あっていいのか・・・環境としては最良な煙草屋旅館

 

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チベット・・・行ったことないですが

何かの写真でみたチベットの山小屋・・佇まい・・

そんな既視感を得た外観でありました。僕だけかもしれませんが。

 

新館・旧館が渡り廊下で繋がる地上二階建て。

山中に突如現れる割には、何ともしっかりした造り。

 

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そして何より、山小屋に風呂がついているという贅沢さ。

これはもう、山小屋と呼んではいけないカテゴリなんでしょうね。

そもそも「旅館」と自称されてるわけですからそうなんでしょうけど。

 

ちなみに「煙草屋」の名称の由来は

元々地上で(黒磯の駅前でとのこと)煙草屋を営んでいた屋号を

そのまま山小屋にも当てた、とのこと。

 

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相部屋、雑魚寝が当たり前の山小屋にあって、

個室(たぶん運良く)、風呂付きってのはこんなに恵まれてよいのか、と

ちょっと拍子抜けになるほどでした。

 

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お米は年に一回ヘリで空輸、卵は人力で運ぶそうです。

 

そして2食付き。メニューのバリエーションも充実。

 

 毎回、山小屋は素泊まりで通してきた我がパーティー。

それは単に、自分たちでヤマメシを作ることも含めて山の愉しみであったわけで、

山小屋から出されたご飯を食べる、というのは初めてだったのですが、

こんなにバリエーションに富むものなのでしょうか。

(ちなみにお米が食べ放題でした)

 

宿の主人にお話を伺うと、

お米は年にわずか一回のみ、ヘリで空輸するそう。

 

アルプスみたいに山小屋が多い山系は山小屋が共同で定期的にヘリを呼び、

山小屋同士で物資と予算の融通を利かせるため、

むしろ定期的な物流ルートが確保されているようだが、

那須岳のように山小屋が少ない地域では予算の兼ね合いもあり、

空輸の機会も限られているとのこと。

 

個人的には朝ご飯に卵が出たのが静かな驚きで、

どうやって運んでいるのか気になっていたのですが、これは人力とのこと。

段ボールにまとめて卵をつめて、角に緩衝剤を入れ、背中に背負うことで

以外と割れるのは防げるとのこと。

 

これは我々にも応用できるかも。卵料理、どこかで挑戦したいと思います。

 

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毎回の静かな愉しみ。焼酎はペットボトルに入れて持ち込みます。今回は黒霧島

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ちなみに露天風呂は入浴時間に制限なし。

(内湯もあり。これは男女により入浴時間制限あり)

 

良いお湯でありました。ぜひお試しください。

なお、煙草屋旅館の源泉となる三斗小屋温泉の発見は

1100年代とのこと。平安時代ですね。

  

 翌朝、そして茶臼岳へ

 

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5月頭だったものの、夜の気温が約5℃。

季節の割に極寒の、長い長い夜(消灯21時)を過ごし翌朝。

 

朝風呂もしっかり入って、茶臼岳に向けて出発です。

 

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周辺地図(再掲)

煙草屋から茶臼岳にかけては

最初平坦な道をとぼとぼと歩きます。

起伏もほぼなく、ピクニック感覚。

 

気持ち早めに1時間半強くらいで麓の避難小屋に到着。

小休止を経て、茶臼岳(峰ノ茶屋分岐)に向けて稜線をあがります。

 

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ふたたび峰ノ茶屋分岐へ。ここから茶臼岳山頂へ。


峰ノ茶屋分岐から、茶臼岳山頂にかけては

ごつごつした岩場をひたすら上り。

 

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火山だなー、って感じですね。

匂いも硫黄臭がさらに強く鼻につく。

 

峰ノ茶屋から40分ほどで茶臼岳山頂に到着します。

 

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山頂、那須嶽神社。鳥居が下界を見下ろします。

茶臼岳山頂はうす鉢状になっており、

外輪を周回して山頂に回り込む形になります。

 

山頂からちょっとおりたところにロープウェイ駅も通っており、

山頂付近にはロープウェイ客もかなり多めでした。

 

 

那須岳、そして煙草屋旅館1泊。

交通の便や宿泊(煙草屋が特別なんでしょうが)が整備されており

ライトに縦走を楽しむという点ではかなりお勧めかとおもいます。

もちろん日帰りでも。

 

ぜひお試しを。

 

三斗小屋温泉:煙草屋旅館

■一泊二食付き9000円(2018年5月時点)

三斗小屋温泉 煙草屋旅館|那須の秘湯「三斗小屋温泉」の宿(那須塩原案内所)

TEL1:那須塩原案内所
0287-69-0882(AM7:00~PM8:00)

TEL2:現地衛星公衆電話
090-8589-2048(AM7:00~PM8:00)

 

 

 

 

チーズフォンデュ的なものと”秘湯”煙草屋旅館 〜那須岳縦走〜(1) 

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那須岳”とは茶臼岳の別称でもあり、

一方でその茶臼岳や朝日岳、三本槍岳など、那須周辺の山々の総称でもある、とのこと。

 

割とそういうパターンありますよね。八ヶ岳とかもそうだし。

 

この、”ここらへん周辺の山系を指す総称”みたいな呼び名に

○○岳とか、○○山みたいな名前付けるの、個人的にちょっと気持ち悪いなって思ってしまう。

 

那須岳の、朝日岳、みたいな言い方になるわけでしょ。

なんかしっくり来ないですよね。

那須連峰・那須連山みたいな呼び名もあるようですが)

 

 

今回は、そんな那須岳朝日岳から茶臼岳)を縦走した話を。

そして、”いかにヤマメシにこだわるか”、というところは今回も変わらず。

チーズフォンデュ、(的なものを)作ります。作り方はのちほど。

 

 

残雪の登山道 

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茶臼岳麓の那須ロープウェー駐車場よりスタート。登山口には鳥居が。

 

登ったのが5月頭。

遠目から見ても、まだ山のところどころに残雪が目立つ。

 

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登山開始早々で、やはり足元にはまだ雪がしっかり残る。

季節によるものの、5月下旬くらいまではまだまだ残雪があるようで、

登山する場合はアイゼンがあるに越したことはないです。

 

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登山口から稜線までは40分程度で到着。

左手に茶臼岳、右手に朝日岳という広けた景色。

茶臼岳の壁面にはべっとりとまだ雪が残ってました。

  

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晴れていたこともあり、

体感温度はそれほど寒くはない季節ではあったものの、

そこはやはり山。下界とはまた違う世界です。

 

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稜線を抜けると避難小屋が。(峰ノ茶屋跡)

左に向かうと茶臼岳山頂(牛ヶ首)、右に向かうと朝日岳方面。

ここが分岐になるわけです。

 

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隠居倉をちょうど下ったところにある

”煙草屋旅館”(三斗小屋温泉)がその日の泊地だったわけで、

そうなると朝日岳経由の右回りか、峰の茶屋から一気に北へ下る左回りか、ルートは2つ。

 

その時点でさして何も決めてなかったのですが

右手の朝日岳の存在感にみとれ、朝日岳〜隠居倉を越える稜線をずいっと行くことに。

 

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朝日岳の手前、剣ヶ峰の中腹をトラバース。

地面が雪だったり土だったりなコンディション。

アイゼンの脱着がかなり面倒で、一瞬アイゼンなしでも行ける(行きたい)と思ったものの、

さすがにここの中腹は下の勾配がきつく、足を滑らせるのも怖かったのでアイゼン履きました。

 

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 剣ヶ峰から朝日岳への分岐までは約30分程度で到達。

スタートの登山口から1時間半くらいで朝日岳山頂への分岐に到達するんですね。

且つ稜線沿いにきれいな縦走ができるわけで、

なんとお手軽な”縦走感”だこと。

 

北アルプス表銀座を彷彿とさせるような

きれいな稜線を、麓からそれほど時間をかけず体感できる、という点では

かなりお勧めなルートだと思います。

 

ここから一気に朝日岳山頂へ(10分)。

 

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朝日岳山頂からは向かいの茶臼岳、そして那須山系の山々が一望。

山頂には小さな鳥居がありました。

手作りと思われる小さなお地蔵さん?も。誰が作って誰がそこに置いたんでしょうね。

毎回山に登るたびに不思議です。

 

標高1900m、チーズフォンデュ的なものをつくる

 

毎回、山メシについては、食材に小さなルールを設けてます。

それは、”そこで食えそうもないギリギリの違和感に挑戦すること”

 

そんなわけで、今回はチーズフォンデュです。

 

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まず、市販のカマンベールチーズを用意します。

(切れ込みの入ってない、ホール型のもの)

 

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バーナーに着火。

本当はアルミホイルに包むとベストなのですが、アルミホイル忘れました。

今回は、ミニフライパンに直接乗せます。

 

ちなみに切れ込みが入ってないチーズを用意する、と先ほど書きましたが、

チーズに熱が通ったタイミングで十字に切れ込みを入れます。

だったら最初から・・・と思ったあなた。違います。

 

チーズの下まで完全に切れ込みが入っていると分離してしまうだけなので、

あくまでチーズの上部のところだけに十字に切れ込みを入れるのが大事なんですね。

 

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要はこうなります。

上部の部分だけペラッとめくれて、中はとろりとろける感じ。

この感じが出せると成功です。

 

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パンにつけるも良し。

冷凍野菜とかを持ち込んで食べるもよし。

(ちなみに今回はパンでした)

 

パンに溶かしたチーズを付けてるだけなので

厳密に言うともはやチーズフォンデュではないのですが、

応用すれば何でも出来る。ぜひお試しください。

 

※パンの場合は敷島製パンPasco)の「超熟イングリッシュマフィン」が最高。

  敷島製パンのまわしものみたいですが、お世辞なしで何にでも合います。

(商品画像は敷島製パンブランドサイトより転載)

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また、最後はカリカリになるまで焼いて、

カリカリなチーズを最後まで楽しむ、という芸当もあります。

これもぜひお試しください。

 

 

さて、次は朝日岳からいよいよ泊地の

煙草屋旅館を目指します。

 

 

チーズフォンデュ的なものと秘湯、煙草屋旅館 〜那須岳縦走〜(2)へ続く 

 

 

”山メシ”への目醒め:大菩薩嶺(2)

 

 ”バーナーで何かを沸かし、クッカーで何かを作る”。をやりたいだけ。

 

小さい頃・・・遠い記憶の中で見た丸大ハムのCM。

「わんぱくでもいい。たくましく育ってほしい」のフレーズをバックに、

親子が山を登ったり、川をカヌーで下ったり、、とにかく野生感あふれたCM。

 

そこで”山で何かを作って食べてる”映像が

妙に美味しそうで、子供ながらに、いつか俺もやってやると。静かな憧れの存在でした。

 

あれから数十年。

沸々と地下水脈のように心の中に溜まった思いが、中途半端に吹き上がると人はどうなるか。

そう、まずは形から入るんですね。

 

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まずは形から入るのも良し。ギア集めもまた楽しい。

 

とにかく、道具を買いそろえる。(このときはバーナー)

そして、何かにつけて、火をつけたがる。

 

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富士見平にて休憩。とにかく、、”コーヒーを沸かしたい!!”

 

ただの休憩ですよ。休憩。

ちょっと休むだけですよ。それなのにね。

「じゃ、飲んじゃいますか。コーヒー」なんつって、バーナーで水沸かし始めちゃう。

 

結局それがやりたいだけなんですね。

そのシチュエーションにすべてを賭ける、みたいな。

むしろそれをやるために山登ってます、みたいな。

(そして今もそれは変わってないです)

 

 大菩薩×すき焼き

 

バーナーだけでなく、クッカーも使いたいので、当然山メシにもこだわります。

 

我々のテーマ、それは山メシにどこまで命を賭けられるか。

いま様々な山を登って、毎回そこだけはこだわって来ている自負があり、

ゆくゆくここでも取り上げていきたいと思います。

 

”とりあえず”のマルタイラーメン

 

登山口から歩き続けて約5時間、大菩薩峠にある山小屋「介山荘」まで辿り着いた我々は

宿泊手続きを経て、一目散に山小屋前のベンチで”昼ごはん”を作り始めます。

 

昼ご飯はラーメン。

 

 

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みんな大好きマルタイラーメンを持ち込み、 

チャーシュー、ネギ、など具もラップに冷凍で包んで持ち込むこだわりを見せたのでした。

足下をトレッキングシューズで攻めて来たこだわりの無さからは想像も付かないでしょうが、

食べ物には、こだわるのです。

 

夢の”天空すき焼き”

 

 そして夕方まで仮眠を取ったのち、

夕飯時、他の宿泊者が食堂に向かうのを背に、我々はまた外のベンチへ。

 

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颯爽と並ぶギアたち。そうこの光景が萌えるのだ!

ほどよく解凍された冷凍肉、ネギ、しいたけ。

そしてそこにどこからともなく取り出した割り下。

 

そう、すき焼きです。

(あと卵があれば完璧だったが、さすがに卵は割れるので持ち込みに苦慮)

 

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夏場は肉に加え、野菜類も冷凍の上、ジップロックでの持参をおすすめしたい。

 

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余った汁物を山中に捨てるのは御法度。根性で飲みきるか、ペットボトルなどに入れて持ち帰ろう。


 

おそらく、大菩薩ですき焼きをイチから作ったパーティーは

そうはいないでしょう。

 

しかし、どんな材料であれ

ジップロックに冷凍状態で持ち込めば何とかなる、といったことを学んだ山行でもありました。

 

あとは重量とのにらめっこ。

荷物の軽量化を取るか、山頂での食の贅沢を取るか。

 

我々はいまでも、断然後者なのである。

 

 

 

■スケジュール

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出典:大菩薩観光協会

参考:大菩薩峠・介山荘

夜天気が良いときは大菩薩峠から甲府盆地の夜景が一望。

ロケーションはお勧めできます。

大菩薩峠 介山荘

 

 

 

”山メシ”への目醒め:大菩薩嶺(1)

はじめてまともな登山をした頃の話をひとつ。

初めて「百名山」と呼ばれる山に足を踏み入れたのは大菩薩嶺でした。

 

大菩薩嶺(2,057m)

山梨県甲州市-北都留郡丹波山村

奥秩父山塊に位置し、大菩薩連嶺の主脈を構成。

日本百名山には「大菩薩岳」の項で取り上げられている。

Wikipediaより一部抜粋)

 

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大菩薩嶺中腹の大菩薩峠。山小屋である介山荘もここにある。

 

それまで、2,000m級の山なんて登った事もなく、

百名山って何?」って感じだったんですが、友人の誘いもあり

流れるように”山の世界”に足を踏み入れたのでした。

 

まだ極めて不摂生な生活を送っていた当時、

前日金曜の酒の匂いを残しながら、土曜朝一から登山に挑む、という、

完全に山を舐め腐っていたのがいまとなっては懐かしい。

 

山はペース。1にも2にも、ペース、ということを学ぶ。

 

さて、そんなこんなでスタートした”初百名山”登山。

山行のパーティは4人。ほぼ全員初心者という、なんとも初々しいパーティーでした。

 

どれくらい初々しいかと言うと、

パーティの中でも一番の経験者が2000m級の登山をその時点で2回ほど。

そして話を聞けば、無邪気にトレッキングシューズでアルプスを攻めちゃっていた

くらいのヨチヨチ感。(案の定、下山中に足をぶっ壊したらしい)

 

完全初心者の僕を前にして、彼らも彼らで、そんなつらすぎる経験を経て、

今度こそ、とバッチリ登山靴を買って挑んだ、リベンジ戦に僕がのこのこお邪魔したのでした。

 

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ガンガン飛ばした末路は・・・

 

”水を得た魚のよう”、という言葉はよく出来た言葉で、

トレッキングシューズで死ぬ思いをした連中が、その感覚の覚めないうちに

登山靴を履くと、気持ち良いほどガンガン行けるらしい。

 

そりゃもう、今思えば登山開始直後からガンガン攻めてました。

 

僕の登山開始直後の感想はこうです。

「と、登山ってそんなに飛ばすもんなの?死なない?」

 

登山のペースってこんなもんなのかと。

僕の体力がないのかと。こりゃえらいものに手を出したなと。

「はい、ギブアーーーーップ!」と、半ば心が叫びかけたその時、ふと先頭のKくんが足を止めて呟いたのでした。

 

「ちょっと・・・・・はぁ・・・・・や、休もうか・・・てか、速いよね?」

 

だよねーーーー!と。

そうなんです。後から聞いた話ではそのとき全員が全員そう思ってたと。

でも、登山靴が快適すぎて、足が止まらなかったんだと。(先発ペースメーカーのKくん)

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これはですね、初心者の登山においては結構な落とし穴だと思います。 

勾配と、そのときのメンバーの体力・体調等にもよりますが、登山のペースはゆっくり過ぎるくらいが丁度いいと思います。

 

好日山荘ガイドコラム(以下参照)によると、感覚としては以下の試算ができるとのこと。

平坦な道を歩く速度は毎時4km が普通とします。水平距離を1km歩くのに必要な時間は15分位のはずなのに、高度差300mを登るとほぼ一時間かかります。この時、山登りは時速1kmと考えるのではなく、(一般登山道での「標準的な目安」として、)水平距離1km=15分、垂直距離100m=15分(垂直距離300m=45分)という様に一時間=60分=(15分+45分)に分解して考えます。更には急な登山道は垂直距離100m=20分で割り増す」

コースタイム - 好日山荘 ガイドコラム

 

頭で考えると小難しいですが、

登山開始からはまずはゆっくり過ぎるくらいのスタートで、

メンバーの体力と残りの行程を加味しながら、時折ペースを変えていくイメージでしょうか。

 

我々もいまとなってはある程度の登山経験も積み、

おかげさまでここのペース配分はメンバーあうんの呼吸である程度調整できるようになりました。

今の平均のタイムは公式の登山時間よりも、きもち速めに目的地に到着、という感じが多いように思います。

 

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富士見平。苦労して登った先にある絶景があるからやめられない。

 

さて、大菩薩。

序盤のペースに反省した我々は、ダウンしたKくんから、

パーティーの中で一番ペース配分のセンスがありそうなMくんにペースメーカーをチェンジ。

 

「いいから、ゆっくりいこう、ゆっくりで」

 

を合い言葉に、前半のトラウマを忘れるように、ゆっくり、ほんとにもう過剰なくらいゆっくり歩を進めたのでした。

(※その後、Mくんはこれをきっかけに我が隊不動のペースメーカーとしてポジションを確立することになる)

 

 

 

”山メシ”への目醒め:大菩薩嶺(2)へ続く

 

はじめに

我ながら完全にキリマンジャロを舐めている、と思う。

まず全ての山岳ファンに謝りたい。

  

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大天井岳山頂・大天荘より朝焼けを臨む(2017年7月)

 

人はなぜ、山に登るのか。

 

チョモランマを目指し消息を絶ったイギリスの登山家、

ジョージ・マロリーがそれを問われたとき、

「そこに山があるからだ」と答えたのはあまりにも有名な話だ。

 

この言葉、美談じみた名言として世に残っているが、

実は質問に対して何も答えていない。

これほど漠然とした受け答えがあるだろうか。

たぶん、本人ですら理由なんて分かっていない(考えてすらいない)可能性が高い。

 

唐突だが、

我々は毎回、山行に飯ごうと鍋を持ち込んで、自炊をしている。

 

時にはひいひい言いながら機材と食材を背負って、

標高2500mの山頂付近で地上さながらのカレーを作ってみせ、

山小屋のあんちゃんに「頭おかしいのか」と呆れられたこともある。

 

ちなみに山行には毎回、ペットボトルに焼酎と水、

それぞれ二本分をたっぷり入れて持ち込む。

山頂でどうしても水割りを飲みたいからだ。

 

荷物の軽量化が鉄則の登山において

なぜそんなことを。

 

たぶん、マロリー同様、答えなんてないのだ。

 ただ、そこで食える”ヤマメシ”がたぶん、最高にうまいのでは、

という推測と期待の元、毎回、やってしまっている。

そして確実にうまいのでまたやってしまう。 

 

このスパイラルは何なのか。 

 

山が好きで野営が好きで、

そこで作る山メシが最高で、

でも結局はそのシチュエーションで飲みたいだけで、

それをやるとしたら山に登るしかなくて、結果登っている、

ということなのだと思う。

 

毎回、安全が確保できる程度のギリギリの重量とのせめぎ合い。

食欲と登山欲の絶妙なバランスを目指している。

 

ここでは、

そんな我々の過去、現在の登山体験と野営、

キャンプ、山メシ、登山情報、気の向くままに記録として残す。

 

そして、、いつかモチベーションそのままに、

キリマンジャロの登頂を夢みて。