チーズフォンデュ的なものと”秘湯”煙草屋旅館 〜那須岳縦走〜(2)
朝日岳より隠居倉、そして”秘湯”煙草屋旅館へ
朝日岳山頂をくだり、稜線をたどって隠居倉へ。
名前は山っぽくないですが、隠居倉自体も標高が1819m。
それにしても隠居倉って面白い名前。
名前の由来が気になります。
隠居倉から煙草屋旅館への下りはかなり急勾配。
斜面は全面に残雪。これはさすがにアイゼンがないと滑り落ちる危険が高く、
全員アイゼン着用。
下っていて思ったが
峰ノ茶屋の分岐にて、半ばフィーリングで朝日岳経由の右回りを選んだものの、
仮に左回りを選んだ場合、これを煙草屋から隠居倉山頂へ逆ルートとなると
正直かなりきつかった。
地図情報によると
下りが30分程度なのに、上りの平均タイムは約1時間。
且つ雪の斜面となるとプラスどれくらいになるんだろう。
(それはそれで面白いが)
峰ノ茶屋あたりから気付いてはいたが、
那須岳周辺は場所によって濃度の違いこそあれ、常に硫黄臭がつきまとう。
活火山であることを考えるとそれもそもはず、ではあるものの、
改めて周辺が火山地帯であることを再認識する。
隠居倉から急斜面を下るとさらに匂いがきつくなり、
点在する噴気孔からは白煙が。
噴気孔から流れる温泉に手を触れるとかなり熱々。
まさに天然温泉そのもの。温泉付近の泥をさわるとさらさらでした。
何かの温泉成分と化学変化的なものを起こしてるんでしょうか。
さて、隠居倉をくだって30分強。いよいよ泊地、
煙草屋旅館へ到着です。
こんな山小屋あっていいのか・・・環境としては最良な煙草屋旅館
チベット・・・行ったことないですが
何かの写真でみたチベットの山小屋・・佇まい・・
そんな既視感を得た外観でありました。僕だけかもしれませんが。
新館・旧館が渡り廊下で繋がる地上二階建て。
山中に突如現れる割には、何ともしっかりした造り。
そして何より、山小屋に風呂がついているという贅沢さ。
これはもう、山小屋と呼んではいけないカテゴリなんでしょうね。
そもそも「旅館」と自称されてるわけですからそうなんでしょうけど。
ちなみに「煙草屋」の名称の由来は
元々地上で(黒磯の駅前でとのこと)煙草屋を営んでいた屋号を
そのまま山小屋にも当てた、とのこと。
相部屋、雑魚寝が当たり前の山小屋にあって、
個室(たぶん運良く)、風呂付きってのはこんなに恵まれてよいのか、と
ちょっと拍子抜けになるほどでした。
そして2食付き。メニューのバリエーションも充実。
毎回、山小屋は素泊まりで通してきた我がパーティー。
それは単に、自分たちでヤマメシを作ることも含めて山の愉しみであったわけで、
山小屋から出されたご飯を食べる、というのは初めてだったのですが、
こんなにバリエーションに富むものなのでしょうか。
(ちなみにお米が食べ放題でした)
宿の主人にお話を伺うと、
お米は年にわずか一回のみ、ヘリで空輸するそう。
アルプスみたいに山小屋が多い山系は山小屋が共同で定期的にヘリを呼び、
山小屋同士で物資と予算の融通を利かせるため、
むしろ定期的な物流ルートが確保されているようだが、
那須岳のように山小屋が少ない地域では予算の兼ね合いもあり、
空輸の機会も限られているとのこと。
個人的には朝ご飯に卵が出たのが静かな驚きで、
どうやって運んでいるのか気になっていたのですが、これは人力とのこと。
段ボールにまとめて卵をつめて、角に緩衝剤を入れ、背中に背負うことで
以外と割れるのは防げるとのこと。
これは我々にも応用できるかも。卵料理、どこかで挑戦したいと思います。
ちなみに露天風呂は入浴時間に制限なし。
(内湯もあり。これは男女により入浴時間制限あり)
良いお湯でありました。ぜひお試しください。
なお、煙草屋旅館の源泉となる三斗小屋温泉の発見は
1100年代とのこと。平安時代ですね。
翌朝、そして茶臼岳へ
5月頭だったものの、夜の気温が約5℃。
季節の割に極寒の、長い長い夜(消灯21時)を過ごし翌朝。
朝風呂もしっかり入って、茶臼岳に向けて出発です。
煙草屋から茶臼岳にかけては
最初平坦な道をとぼとぼと歩きます。
起伏もほぼなく、ピクニック感覚。
気持ち早めに1時間半強くらいで麓の避難小屋に到着。
小休止を経て、茶臼岳(峰ノ茶屋分岐)に向けて稜線をあがります。
峰ノ茶屋分岐から、茶臼岳山頂にかけては
ごつごつした岩場をひたすら上り。
火山だなー、って感じですね。
匂いも硫黄臭がさらに強く鼻につく。
峰ノ茶屋から40分ほどで茶臼岳山頂に到着します。
茶臼岳山頂はうす鉢状になっており、
外輪を周回して山頂に回り込む形になります。
山頂からちょっとおりたところにロープウェイ駅も通っており、
山頂付近にはロープウェイ客もかなり多めでした。
那須岳、そして煙草屋旅館1泊。
交通の便や宿泊(煙草屋が特別なんでしょうが)が整備されており
ライトに縦走を楽しむという点ではかなりお勧めかとおもいます。
もちろん日帰りでも。
ぜひお試しを。
三斗小屋温泉:煙草屋旅館
■一泊二食付き9000円(2018年5月時点)
三斗小屋温泉 煙草屋旅館|那須の秘湯「三斗小屋温泉」の宿(那須塩原案内所)
TEL1:那須塩原案内所
0287-69-0882(AM7:00~PM8:00)TEL2:現地衛星公衆電話
090-8589-2048(AM7:00~PM8:00)