ゆるく、キリマンジャロへの道

重量に逆らい、食材を山に持ち込み続ける 変態(隊)パーティーの記録。

ゆるく、キリマンジャロへの道

アフリカ大陸最高峰、キリマンジャロを目指したい。
いつか。そう、いつの日か。

重量に逆らい、食材と機材を山に持ち込み続ける、
変態(隊)パーティーの記録。


槍ヶ岳でカオマンガイをつくる、の巻(2)

 

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先に言っておこう。

 

槍ヶ岳におけるカオマンガイ
これはいつになく最高の出来だった。

 

飯ごうをガラガラいわせながらバックパックに背負い、
これをバーナーで沸騰させ、米を炊く。

 

高地は言わずもがな気圧が低い。よって沸点も低い。
槍ヶ岳山荘は実に標高3080mだ。

 

自分で言うのもなんだが、
ここで炊飯を成功させるのは割と難易度が高い。
だが何回も山で米を一から炊いているうちに感覚が宿った。

 

勘だ。

 

誰にも共有できないし、引き継ぐ事も出来ない。
勘で米を炊いている。

 

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愛すべき相棒たち。こいつらをガチャガチャいわせて山に持ち込むのだ。


カオマンガイ×槍ヶ岳


カオマンガイ、今回は
事前に家で仕込みをして持ち込んだ。

レシピは以下の通り。

 

■材料
鶏もも肉:1枚(これを細かく切って冷凍。登山中の解凍を狙う)
・米:2合
・水:2合よりもやや少なめ
・塩:一つまみ
・鶏ガラスープ:小さじ1
※塩と鶏ガラスープはあらかじめ混ぜて持参

 

■タレ
・醤油:大さじ2
穀物酢:大さじ2
・すりおろし生姜:小さじ2
・ごま油:小さじ2
※これを事前に混ぜ、ペットボトルに入れて持参。

 

当時は夏場。
鶏の持ち込みにはやや勇気が要ったが、
冷凍に加え、ジップロックに保冷剤をぶちこんで持ち込んだ。

 

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鶏はあらかじめ冷凍。登山中の解凍を目指す。

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冷凍鶏を詰める。ジップロックが便利。

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タレ。醤油・酢・すりおろし生姜・ごま油を混ぜる。

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混ぜたタレはペットボトルで持ち込んだ。


そして8時間半の熾烈な山行を経て、(前回参照)

槍ヶ岳山荘到着は17時過ぎ。

 

着くやいなや、さっそく調理を開始する。

 

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飯ごうに米、水、塩と鶏ガラ、解凍された鶏ももをぶち込んで炊く。

 

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夕日に照らされる槍のピーク。

美しいその姿をバックに、ひたすら炊く。

 

・・・寒い。

 

夏なのに気温は1ケタ台だ。

 

・・・炊く。

でも寒いので飯ごうを置いて山小屋に引き返す。
しばらくして戻る。夕日の槍を見上げる。
・・・飯ごうを見守る。

 

でも寒いから小屋に戻る。
焼酎を飲む。炊いているのを忘れて慌てて戻る。

 

・・・なんてことを繰り返しているうちに、
フタからあぶくが滴り落ちる。湯気が出てきた。
かすかな米の匂い。

 

ここからはしつこいようだが勘だ。
勘でここぞというタイミングで飯ごうをひっくり返す。

 

しばらく蒸らしてフタを開ける。

・・・・・・・か、完璧だーー!

 

繰り返すがこれは勘だ。

勘なので誰にも引き継げない。
コツは墓場まで持っていくことになるでしょう。

 

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そして、言っておく。
炊きあがりは最高だった。だが、写真が最悪だった。

 

寒すぎた。

 

寒すぎて、見栄えを整える気持ちがゼロだった。
結果、生ゴミみたいな見栄えになってしまった。

 

でもね、旨かったのよ。ほんと。旨いのよこれ。
ぜひ皆さんも試してください。

 

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槍ヶ岳山荘。有料ですが水も買えます。

 

槍ヶ岳登頂

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さて、話は本題の槍ヶ岳登山。

 

夜明け前に目が覚めた。
ふいに外に出てみようと思った。

 

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山荘から、まだ暗い槍ヶ岳山頂を見上げると、
ヘッドライトがチカチカ、山頂を目指して登っている。

 

こんな未明から?あの断崖絶壁を?真っ暗なのに?
命知らずもいるもんですね。やはり経験がなせる技なんでしょうね。

 

まだ槍ヶ岳お初なこちらとしては、ただ驚くばかりでした。
技術と勇気に敬意を表したい。

 

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さて、すっかり夜も明けて朝。
我々もいよいよ槍ヶ岳山頂を目指す。

 

メットをね。借りられますよ。山荘で。

 

というか借りるか持参しないと山頂を目指すのはダメ。
命に関わります。

 

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ハシゴを登る途中、ちらっと脇をみると小槍が。


外から見てると、こんな断崖を登れる気が全くしなかったのですが、
いざ登り始めても、そんな気はまったくしませんでした。

 

ほんと、割とずっしりと”切迫した命の危険”を感じた。

 

下を見るとさっきまでいた山荘があんなに小さい。

 

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岩場を鎖を伝いながら、そして時には素手でよじ登る。
ハシゴは垂直。本当に垂直。

 

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ここにハシゴを掛けた人を心からリスペクトしたい。
そう思いながら一歩一歩、極めて慎重に山頂を目指す。

 

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ーーーーーーそして山頂。

 

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槍ヶ岳、標高は日本で5番目。
3180mの頂からは、北アルプスが一望できるのはもちろん、
遥か八ヶ岳、富士山までもうっすらと。

 

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空気が澄み切っておりました。
本当に、空気が澄んでいた。なんだろう。あの空気は。

 

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ああ、ついに槍を登ってしまった。
次はいったい何を目指せばいいのだ。
そんな喪失感さえ芽生えるくらい、なんと偉大な山なのか。

槍ロスです。


でも次はもう少し腕を上げて、
別のルートでぜひ槍にアプローチしたいもの。

 

リメンバー、槍。

 

そして次は、もう少し、飯ごうの写真をちゃんとしたい。
その思いも込めて。