槍ヶ岳でカオマンガイをつくる、の巻(1)
アルプス一万尺の「アルプス」は
日本アルプスのことであると知ったのはつい最近のことだ。
一万尺=約3030m、
日本アルプスの山々の標高がだいたい3000m級であることを考えると
なるほどそういうことなのか、と。
ちなみに
「アルプス一万尺、こやりの上で、アルペン踊りを踊りましょ」
の「こやり」は
槍ヶ岳のそれであることも。
こんなところで踊るなんて。なんてワイルドな。
そんな話はともかく、
槍ヶ岳。
山に心奪われるものにとって、
これほど心揺さぶられる山があろうか。
天を突く「槍」のピーク、
そのシルエットは北アルプスの中でも圧倒的な存在感を放つ。
そうだ。槍へいこう。そう思い立った。
槍へいくのだ。
槍で、カオマンガイを作るのだ。
というわけで
今回は槍でカオマンガイを作る話です。
上高地は遠い。
今回のチョイスは上高地ルート。
本来は2泊3日のところを休みが取れなかったので強気の1泊2日で攻める。
泊地の槍ヶ岳山荘まで、片道11キロ、実に9時間。
そうすると、逆算して登山口の上高地には6時。
未明、漆黒の新宿。
計画的な我々は、逆算に逆算を重ね、
午前3時、上高地へ向けて颯爽と出発した。。。
はずが、盛大に寝坊をしたので仕切り直し。
空も白みかけた午前5時。
遅ればせながらもわれわれは一路中央道をかっとばし、
目を充血させながら上高地へ向かったのだった。
「え、いまから?」
当然されるであろう最初のリアクションはタクシーの運転手さんでした。
上高地はご存知の通り
一般車輛の乗り入れが不可。
よって手前の駐車場に車を止め、バスかタクシーで上高地入り。
我々は沢渡の、大駐車場からタクシー。
信頼と実績のアルピコタクシーの運転手さん。
今日はどこまで?と聞かれて、「槍まで」と。
「ああ、槍沢ロッジに泊まるのね?」
と聞かれて
「いえ、槍ヶ岳山荘まで一気にいっちゃいます」
と言った時のリアクションが最初のそれでした。
まあそうでしょうね。
なお沢渡の大駐車場から上高地まではタクシーで4500円。
まあ複数人で乗り合えば妥当な値段だと思います。
(タクシー会社により変わる可能性あり)
上高地コースの序盤は平坦。早歩きでタイムを縮める
そんなこんなで登山開始は9時ちょうど。
河童橋を越え、目の前に雄大な穂高連峰を見ながら、
梓川沿いをずいずい進みます。
今回のルートは
上高地から徳沢、横尾を経て、槍沢ロッジを抜けて
槍ヶ岳へ向かうルート。槍の登山ルートとしては一番危険が少ないルートながらも
一番遠回りなルート。平均タイムは9時間とのことでした。
前述の通り、
普通は槍沢ロッジで1泊、槍ヶ岳山荘で1泊、
計2泊3日なんですよね。
開始時間が遅かったので槍ヶ岳山荘に相談すると、
槍沢ロッジ通過の時間が14時を越えていなければ、山荘の到着タイムとしては安全圏とのこと。
まずは槍沢ロッジ14時。これを目指して歩を進める。
上高地から明神池、そして徳沢、横尾までの数kmは、
起伏がほぼない平坦なルート。
なので基本休憩なしの早足でがんがんタイムを縮める。
そして横尾到着。
ここが涸沢方面と槍ヶ岳方面の分岐。
そしてここからようやく起伏が出てきます。
森林の程よい木陰と、梓川の水音を横で聞きながら、槍沢ロッジを目指す。
槍沢ロッヂ到着
結果、槍沢ロッヂ到着は目標タイムから一時間早い13時。
まあ、やればやれるもんです。
ここでしばしの休憩。昼ご飯はマフィンにチーズ・ハムを挟んでぱくり。
本当はここでバーナー取り出して、マフィンをあぶったり何かして、
チーズをとろけさせちゃったりして、満喫したかったんですが、、、
そんなことをしている時間はないわけで、
バーナー遊びはお預け、よってあぶりもなし、
ぱさついたマフィンにチーズとハムをどかっと挟んで、口に運んで終わり。
何とも味気ない。まあ旨かったですけどね。
山の醍醐味に「山メシ」を掲げているはずの我々が、
なんとドライな昼めしを・・・・。
もっと山メシに豊かさを!!!
やはり、山行は計画が全てですね。
ちなみに槍沢ロッヂ、なかなか規模は大きく、
お風呂なんかもあったりで、山小屋にしては充実してそうな雰囲気でした。
なお食堂も併設されており、宿泊者以外でもご飯が食べれます。
ランチメニュー、カレーやらラーメンやら中華丼やら、種類は違えどそれぞれ1000円。
まあ思ったより手頃なんじゃないでしょうか。
我々は滞在時間15分くらいでしたが、
お気になった方はぜひ。
さて槍沢ロッヂに別れを告げ、
梓川沿いをさらに進みます。
梓川沿いを進むと、そこには・・・
徐々に開けてくる山々。
そう、我々はいま渓谷沿いを、梓川に沿ってうねうね歩いているのだと実感できます。
(雪とかみえてきます)
最初、槍ヶ岳が見えるまでどれが槍なのか
分からないまま、なんとなく歩いていたんですが、
渓谷のうねうねを越えると、真っ正面に突如、槍ヶ岳の「槍」が姿を現すんですね。
一目みて、男前だなーと思います。
これがうわさの槍か。と。
ちなみに渓谷はとにかく日差しが強い。遮るものがない。
夏はかなり灼けると思います。あと水分と塩分補給はマジでこまめにしないと熱中症になります。
塩分と水分は絶対マメに補充しましょう。
槍の中腹にに辿り着くまでにダウン、なんてことにも成りかねないので
ここは注意。
まだまだ終わらない。槍ヶ岳山荘までの自分との戦い
槍の中腹にようやく辿り着いても
ここからがさらに長い。気を抜かないように。
最初、槍ヶ岳山荘かなー、あそこまで歩けば到着かなーなんて思ってた小屋が
実は別の小屋だったりします。(殺生ヒュッテ)
ゴールの山小屋かと思いきや
気持ちが折れがちですが、ここはぐっともう一回気持ちをリセット。
槍ヶ岳山荘はその昔、「肩の山荘」と言われていただけあって、
槍のピークの左肩(槍沢方面を背にして)稜線にちょこんと乗っているわけで、
稜線まで登りきらないと栄光のゴールは切れません。
とにかくとにかく
槍の肩を目指しながら、ジグザグに中腹を登り続けます。
しかしながら、中腹からの槍のピークの美しいこと。
この景色を見ながら登れるのであれば何も苦しいことはない。(と今は思う)
そして・・・・上高地から8時間半。
槍沢ロッジから4時間半。
ようやく槍ヶ岳山荘に到着。
到着時間は17時半でした。まだ夏だったからね。(7月)
許される時間ではあったけど、まあまあ危ないタイムではありました。反省。
しかし、到着後、客のおっちゃんが驚いてたなあ。
「どこから来たの?え?上高地?1日で?」
タクシーのおっちゃんから数えて2人目。
リアクションいただきました。恐れ入ります。
タイのごはんですね。
これを飯ごうで炊きます。
そして槍のピークに挑戦します。