ゆるく、キリマンジャロへの道

重量に逆らい、食材を山に持ち込み続ける 変態(隊)パーティーの記録。

ゆるく、キリマンジャロへの道

アフリカ大陸最高峰、キリマンジャロを目指したい。
いつか。そう、いつの日か。

重量に逆らい、食材と機材を山に持ち込み続ける、
変態(隊)パーティーの記録。


”死の行軍”と執念のカレー自炊 〜瑞牆山・金峰山縦走〜(2)

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ふと思う。

なぜこの瑞牆山金峰山の縦走がこんなにつらかったのか。

 

今でこそ、この山行よりも

標高、勾配、登山時間、どれを取ってもキツめの登山を経験しているが

それでもまだ記憶の中で、この縦走が一番つらい思い出になっている。

 

なぜだろう?と。

 

たぶん、それは

登山中に「心が折れてしまった」から。

 

この時の山行で圧倒的に悪い点がひとつあった。

 

それは、”あと何時間で山小屋につくのか?”

という計算を甘めに読んでいたがために感覚が狂い、心の余裕がなくなったこと。

 

ルートは外さずとも、”心の遭難”をしていたんだろうと思う。

これはある意味物理的な遭難よりも怖いかもしれない。

 

余裕の瑞牆山

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瑞牆山全景(Wikipediaより引用)



瑞牆山花崗岩を主体とした岩山。

山頂付近に近付くにつれ、ガレ場が目立つ。

  

初日山行の予定は、まず瑞牆山頂を目指し、休憩のち下山。

分岐の富士見平小屋まで下って、

 

その足で即、金峰山登山を開始。

当日夕刻までに宿泊先である山小屋、金峰山小屋を目指す、というもの。

 

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地図上の数字だけではざっと7時間。

 

そして、おそらくこれは”縦走”ではない。

体感的にはただ単に2,000m級の山を立て続けに二つこなす、と言ってよい。

しかも1日で。

 

なんとも強気なルートを取ったものだと今でも思う。

 

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登山口の瑞牆山荘から登山を開始して約45分。

富士見平小屋にぶつかる。(標高1816m地点)

 

ここが瑞牆山金峰山の分岐となる。

我々は瑞牆山頂に登頂後、またここまでいったん戻るわけだ。

 

割と瑞牆山金峰山周辺は水場が豊富。

富士見平小屋から歩いてすぐのところにも湧き水があり、

ここで飲料水の補充が可能だ。

 

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瑞牆山は後半、山頂付近の大ヤスリ岩を

前方に見ながらの山行になる。

ガレ場好きにはたまらない景観。 おのずとテンションもあがる。

 

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 富士見平小屋から瑞牆山頂までは2時間ほど。

 

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瑞牆山のシンボル、大ヤスリ岩。山頂からではなく、単独でそびえ立つ。

 

山頂ではコーヒー豆をひいて、

沸かしちゃったりする余裕も。そう。このときはこれくらいの余裕があった。

 

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瑞牆山頂から向かいに、次に登る金峰山が見えた。

 

「あそこらへんが山小屋かなー」

 

なんていいながら美味しくコーヒーをいただいちゃう余裕。

今思えば、この時点からやや時間感覚が狂っていたのかもしれない。

 

はじめての縦走。

 

縦走の場合、地図上の単純合算で時間を見積もるのは危険だ。

実際には疲労や体調によりスピードに影響があるはずで、

やはりここの感覚はまだまだ甘かった。

 

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地獄の金峰山、稜線をゆく

 

さて、一行は瑞牆山を富士見平小屋まで下り、

金峰山を黙々と登り始める。

 

正直、本当にきつかったのか、

ここの記憶は曖昧だ。

 

登山中の写真も、この部分はすっぽり抜け落ち、

撮る余裕すらなかったのか、まともな写真が残っていない。

 

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唯一覚えている記憶が

 

はあはあ言いながら力を使い切り、登りきった先。

てっきりそこを山頂とばっかり思い込み、全ての力を出し尽くしたのだが、

 

そこは山頂ではなく稜線の一番端だったこと。

そしてここで完全に心が折れたこと。

 

そしてそこから1時間〜2時間ほど心が折れたまま

稜線を歩き続けたこと。

 

疲労から時間の感覚が完全に狂い、

山小屋までの到着タイムを見失ったこと。

 

心が折れた状態で、且つゴールまでどれくらいか分からないまま

ただ黙々と数時間歩き続けるということ。

それは苦痛でしかない。

 

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朦朧としながら稜線をたどるの図。数少ない貴重な写真。

 

もはや記憶が曖昧なので曖昧のまま書くが、

おそらく到着時刻は16時くらいだったのではないだろうか。

 

朝の5時に登頂開始。

だとすると11時間歩き続けたことになる。

しかも後半数時間は心が折れた状態で。まさに地獄の行軍だ。

 

いや、行軍なんて格好いいものではないかもしれない。

敗走だ。これはまさに山からの敗走だった。

 

命のカレー。執念の自炊

 

山小屋の写真がない。

たぶん疲労困憊で撮るどころではなかったのだろう。

 

それでも、半ば今回の目的であり、

ある意味疲労の原因であった機材を山小屋のテーブルにばらばらと並べる。

 

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カレー。

地上さながらのカレーを作る。

 

それだけは、それだけはどうしてもやらなければ。

だってやらないと何故来たか分からないから・・・

それはまさに執念だった。

 

ここからはダイジェストで。

 

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冷凍タマネギ・ニンジンを炒める!(うしろの寸胴は関係ないです)

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野菜がしっとりしたらカレー粉投入!

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そして炊く!!飯ごうをバーナーに乗せるという謎のスタイルで!!

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完成!!!


・・・どうでしょうか?

ほんとにただ、カレーを作ってるだけですよね。

特に何のひねりもないです。

 

ただ、本来であれば軽量化とか、

何かを妥協するとか、何かしらの配慮が働き、

コンパクトな山仕様のカレーであるべきところ、

 

ふつーーーーに、

ほんとにふつーーーーーに、地上のカレーを標高2500mあたりで

再現したこと。

 

山小屋のお兄さんには

「頭おかしいんじゃないの?」と失笑されましたが。

 

この点はまあ、ユニークと言えばユニークなんでしょうし、

やろうと思えば出来なくはない、ということを実証できたので良かったです。

もう二度とやりませんが。

 

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悪の元凶のもうひとつ。焼酎をパックごと持ち込むという悪行

 

ちなみに焼酎は疲労から飲み干すことも出来ず。

翌朝山小屋のお兄さんに寄付して帰ってきました。

 

お兄さんも喜んでた(ようにみえた)し、 

まあ、800ml、運んだ甲斐があったもんです。

 


金峰山小屋

www.kimpou.com

 

そんな金峰山

まあ悪い記憶が大半なのですが(自分たちのせいで)

 

山自体は素敵なところなので

最後に山頂の写真を並べて今回はお別れです。

 

ありがとうございました。

山に感謝。

  

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