ゆるく、キリマンジャロへの道

重量に逆らい、食材を山に持ち込み続ける 変態(隊)パーティーの記録。

ゆるく、キリマンジャロへの道

アフリカ大陸最高峰、キリマンジャロを目指したい。
いつか。そう、いつの日か。

重量に逆らい、食材と機材を山に持ち込み続ける、
変態(隊)パーティーの記録。


チーズフォンデュ的なものと”秘湯”煙草屋旅館 〜那須岳縦走〜(1) 

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那須岳”とは茶臼岳の別称でもあり、

一方でその茶臼岳や朝日岳、三本槍岳など、那須周辺の山々の総称でもある、とのこと。

 

割とそういうパターンありますよね。八ヶ岳とかもそうだし。

 

この、”ここらへん周辺の山系を指す総称”みたいな呼び名に

○○岳とか、○○山みたいな名前付けるの、個人的にちょっと気持ち悪いなって思ってしまう。

 

那須岳の、朝日岳、みたいな言い方になるわけでしょ。

なんかしっくり来ないですよね。

那須連峰・那須連山みたいな呼び名もあるようですが)

 

 

今回は、そんな那須岳朝日岳から茶臼岳)を縦走した話を。

そして、”いかにヤマメシにこだわるか”、というところは今回も変わらず。

チーズフォンデュ、(的なものを)作ります。作り方はのちほど。

 

 

残雪の登山道 

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茶臼岳麓の那須ロープウェー駐車場よりスタート。登山口には鳥居が。

 

登ったのが5月頭。

遠目から見ても、まだ山のところどころに残雪が目立つ。

 

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登山開始早々で、やはり足元にはまだ雪がしっかり残る。

季節によるものの、5月下旬くらいまではまだまだ残雪があるようで、

登山する場合はアイゼンがあるに越したことはないです。

 

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登山口から稜線までは40分程度で到着。

左手に茶臼岳、右手に朝日岳という広けた景色。

茶臼岳の壁面にはべっとりとまだ雪が残ってました。

  

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晴れていたこともあり、

体感温度はそれほど寒くはない季節ではあったものの、

そこはやはり山。下界とはまた違う世界です。

 

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稜線を抜けると避難小屋が。(峰ノ茶屋跡)

左に向かうと茶臼岳山頂(牛ヶ首)、右に向かうと朝日岳方面。

ここが分岐になるわけです。

 

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隠居倉をちょうど下ったところにある

”煙草屋旅館”(三斗小屋温泉)がその日の泊地だったわけで、

そうなると朝日岳経由の右回りか、峰の茶屋から一気に北へ下る左回りか、ルートは2つ。

 

その時点でさして何も決めてなかったのですが

右手の朝日岳の存在感にみとれ、朝日岳〜隠居倉を越える稜線をずいっと行くことに。

 

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朝日岳の手前、剣ヶ峰の中腹をトラバース。

地面が雪だったり土だったりなコンディション。

アイゼンの脱着がかなり面倒で、一瞬アイゼンなしでも行ける(行きたい)と思ったものの、

さすがにここの中腹は下の勾配がきつく、足を滑らせるのも怖かったのでアイゼン履きました。

 

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 剣ヶ峰から朝日岳への分岐までは約30分程度で到達。

スタートの登山口から1時間半くらいで朝日岳山頂への分岐に到達するんですね。

且つ稜線沿いにきれいな縦走ができるわけで、

なんとお手軽な”縦走感”だこと。

 

北アルプス表銀座を彷彿とさせるような

きれいな稜線を、麓からそれほど時間をかけず体感できる、という点では

かなりお勧めなルートだと思います。

 

ここから一気に朝日岳山頂へ(10分)。

 

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朝日岳山頂からは向かいの茶臼岳、そして那須山系の山々が一望。

山頂には小さな鳥居がありました。

手作りと思われる小さなお地蔵さん?も。誰が作って誰がそこに置いたんでしょうね。

毎回山に登るたびに不思議です。

 

標高1900m、チーズフォンデュ的なものをつくる

 

毎回、山メシについては、食材に小さなルールを設けてます。

それは、”そこで食えそうもないギリギリの違和感に挑戦すること”

 

そんなわけで、今回はチーズフォンデュです。

 

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まず、市販のカマンベールチーズを用意します。

(切れ込みの入ってない、ホール型のもの)

 

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バーナーに着火。

本当はアルミホイルに包むとベストなのですが、アルミホイル忘れました。

今回は、ミニフライパンに直接乗せます。

 

ちなみに切れ込みが入ってないチーズを用意する、と先ほど書きましたが、

チーズに熱が通ったタイミングで十字に切れ込みを入れます。

だったら最初から・・・と思ったあなた。違います。

 

チーズの下まで完全に切れ込みが入っていると分離してしまうだけなので、

あくまでチーズの上部のところだけに十字に切れ込みを入れるのが大事なんですね。

 

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要はこうなります。

上部の部分だけペラッとめくれて、中はとろりとろける感じ。

この感じが出せると成功です。

 

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パンにつけるも良し。

冷凍野菜とかを持ち込んで食べるもよし。

(ちなみに今回はパンでした)

 

パンに溶かしたチーズを付けてるだけなので

厳密に言うともはやチーズフォンデュではないのですが、

応用すれば何でも出来る。ぜひお試しください。

 

※パンの場合は敷島製パンPasco)の「超熟イングリッシュマフィン」が最高。

  敷島製パンのまわしものみたいですが、お世辞なしで何にでも合います。

(商品画像は敷島製パンブランドサイトより転載)

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また、最後はカリカリになるまで焼いて、

カリカリなチーズを最後まで楽しむ、という芸当もあります。

これもぜひお試しください。

 

 

さて、次は朝日岳からいよいよ泊地の

煙草屋旅館を目指します。

 

 

チーズフォンデュ的なものと秘湯、煙草屋旅館 〜那須岳縦走〜(2)へ続く 

 

 

”山メシ”への目醒め:大菩薩嶺(2)

 

 ”バーナーで何かを沸かし、クッカーで何かを作る”。をやりたいだけ。

 

小さい頃・・・遠い記憶の中で見た丸大ハムのCM。

「わんぱくでもいい。たくましく育ってほしい」のフレーズをバックに、

親子が山を登ったり、川をカヌーで下ったり、、とにかく野生感あふれたCM。

 

そこで”山で何かを作って食べてる”映像が

妙に美味しそうで、子供ながらに、いつか俺もやってやると。静かな憧れの存在でした。

 

あれから数十年。

沸々と地下水脈のように心の中に溜まった思いが、中途半端に吹き上がると人はどうなるか。

そう、まずは形から入るんですね。

 

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まずは形から入るのも良し。ギア集めもまた楽しい。

 

とにかく、道具を買いそろえる。(このときはバーナー)

そして、何かにつけて、火をつけたがる。

 

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富士見平にて休憩。とにかく、、”コーヒーを沸かしたい!!”

 

ただの休憩ですよ。休憩。

ちょっと休むだけですよ。それなのにね。

「じゃ、飲んじゃいますか。コーヒー」なんつって、バーナーで水沸かし始めちゃう。

 

結局それがやりたいだけなんですね。

そのシチュエーションにすべてを賭ける、みたいな。

むしろそれをやるために山登ってます、みたいな。

(そして今もそれは変わってないです)

 

 大菩薩×すき焼き

 

バーナーだけでなく、クッカーも使いたいので、当然山メシにもこだわります。

 

我々のテーマ、それは山メシにどこまで命を賭けられるか。

いま様々な山を登って、毎回そこだけはこだわって来ている自負があり、

ゆくゆくここでも取り上げていきたいと思います。

 

”とりあえず”のマルタイラーメン

 

登山口から歩き続けて約5時間、大菩薩峠にある山小屋「介山荘」まで辿り着いた我々は

宿泊手続きを経て、一目散に山小屋前のベンチで”昼ごはん”を作り始めます。

 

昼ご飯はラーメン。

 

 

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みんな大好きマルタイラーメンを持ち込み、 

チャーシュー、ネギ、など具もラップに冷凍で包んで持ち込むこだわりを見せたのでした。

足下をトレッキングシューズで攻めて来たこだわりの無さからは想像も付かないでしょうが、

食べ物には、こだわるのです。

 

夢の”天空すき焼き”

 

 そして夕方まで仮眠を取ったのち、

夕飯時、他の宿泊者が食堂に向かうのを背に、我々はまた外のベンチへ。

 

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颯爽と並ぶギアたち。そうこの光景が萌えるのだ!

ほどよく解凍された冷凍肉、ネギ、しいたけ。

そしてそこにどこからともなく取り出した割り下。

 

そう、すき焼きです。

(あと卵があれば完璧だったが、さすがに卵は割れるので持ち込みに苦慮)

 

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夏場は肉に加え、野菜類も冷凍の上、ジップロックでの持参をおすすめしたい。

 

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余った汁物を山中に捨てるのは御法度。根性で飲みきるか、ペットボトルなどに入れて持ち帰ろう。


 

おそらく、大菩薩ですき焼きをイチから作ったパーティーは

そうはいないでしょう。

 

しかし、どんな材料であれ

ジップロックに冷凍状態で持ち込めば何とかなる、といったことを学んだ山行でもありました。

 

あとは重量とのにらめっこ。

荷物の軽量化を取るか、山頂での食の贅沢を取るか。

 

我々はいまでも、断然後者なのである。

 

 

 

■スケジュール

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出典:大菩薩観光協会

参考:大菩薩峠・介山荘

夜天気が良いときは大菩薩峠から甲府盆地の夜景が一望。

ロケーションはお勧めできます。

大菩薩峠 介山荘

 

 

 

”山メシ”への目醒め:大菩薩嶺(1)

はじめてまともな登山をした頃の話をひとつ。

初めて「百名山」と呼ばれる山に足を踏み入れたのは大菩薩嶺でした。

 

大菩薩嶺(2,057m)

山梨県甲州市-北都留郡丹波山村

奥秩父山塊に位置し、大菩薩連嶺の主脈を構成。

日本百名山には「大菩薩岳」の項で取り上げられている。

Wikipediaより一部抜粋)

 

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大菩薩嶺中腹の大菩薩峠。山小屋である介山荘もここにある。

 

それまで、2,000m級の山なんて登った事もなく、

百名山って何?」って感じだったんですが、友人の誘いもあり

流れるように”山の世界”に足を踏み入れたのでした。

 

まだ極めて不摂生な生活を送っていた当時、

前日金曜の酒の匂いを残しながら、土曜朝一から登山に挑む、という、

完全に山を舐め腐っていたのがいまとなっては懐かしい。

 

山はペース。1にも2にも、ペース、ということを学ぶ。

 

さて、そんなこんなでスタートした”初百名山”登山。

山行のパーティは4人。ほぼ全員初心者という、なんとも初々しいパーティーでした。

 

どれくらい初々しいかと言うと、

パーティの中でも一番の経験者が2000m級の登山をその時点で2回ほど。

そして話を聞けば、無邪気にトレッキングシューズでアルプスを攻めちゃっていた

くらいのヨチヨチ感。(案の定、下山中に足をぶっ壊したらしい)

 

完全初心者の僕を前にして、彼らも彼らで、そんなつらすぎる経験を経て、

今度こそ、とバッチリ登山靴を買って挑んだ、リベンジ戦に僕がのこのこお邪魔したのでした。

 

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ガンガン飛ばした末路は・・・

 

”水を得た魚のよう”、という言葉はよく出来た言葉で、

トレッキングシューズで死ぬ思いをした連中が、その感覚の覚めないうちに

登山靴を履くと、気持ち良いほどガンガン行けるらしい。

 

そりゃもう、今思えば登山開始直後からガンガン攻めてました。

 

僕の登山開始直後の感想はこうです。

「と、登山ってそんなに飛ばすもんなの?死なない?」

 

登山のペースってこんなもんなのかと。

僕の体力がないのかと。こりゃえらいものに手を出したなと。

「はい、ギブアーーーーップ!」と、半ば心が叫びかけたその時、ふと先頭のKくんが足を止めて呟いたのでした。

 

「ちょっと・・・・・はぁ・・・・・や、休もうか・・・てか、速いよね?」

 

だよねーーーー!と。

そうなんです。後から聞いた話ではそのとき全員が全員そう思ってたと。

でも、登山靴が快適すぎて、足が止まらなかったんだと。(先発ペースメーカーのKくん)

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これはですね、初心者の登山においては結構な落とし穴だと思います。 

勾配と、そのときのメンバーの体力・体調等にもよりますが、登山のペースはゆっくり過ぎるくらいが丁度いいと思います。

 

好日山荘ガイドコラム(以下参照)によると、感覚としては以下の試算ができるとのこと。

平坦な道を歩く速度は毎時4km が普通とします。水平距離を1km歩くのに必要な時間は15分位のはずなのに、高度差300mを登るとほぼ一時間かかります。この時、山登りは時速1kmと考えるのではなく、(一般登山道での「標準的な目安」として、)水平距離1km=15分、垂直距離100m=15分(垂直距離300m=45分)という様に一時間=60分=(15分+45分)に分解して考えます。更には急な登山道は垂直距離100m=20分で割り増す」

コースタイム - 好日山荘 ガイドコラム

 

頭で考えると小難しいですが、

登山開始からはまずはゆっくり過ぎるくらいのスタートで、

メンバーの体力と残りの行程を加味しながら、時折ペースを変えていくイメージでしょうか。

 

我々もいまとなってはある程度の登山経験も積み、

おかげさまでここのペース配分はメンバーあうんの呼吸である程度調整できるようになりました。

今の平均のタイムは公式の登山時間よりも、きもち速めに目的地に到着、という感じが多いように思います。

 

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富士見平。苦労して登った先にある絶景があるからやめられない。

 

さて、大菩薩。

序盤のペースに反省した我々は、ダウンしたKくんから、

パーティーの中で一番ペース配分のセンスがありそうなMくんにペースメーカーをチェンジ。

 

「いいから、ゆっくりいこう、ゆっくりで」

 

を合い言葉に、前半のトラウマを忘れるように、ゆっくり、ほんとにもう過剰なくらいゆっくり歩を進めたのでした。

(※その後、Mくんはこれをきっかけに我が隊不動のペースメーカーとしてポジションを確立することになる)

 

 

 

”山メシ”への目醒め:大菩薩嶺(2)へ続く

 

はじめに

我ながら完全にキリマンジャロを舐めている、と思う。

まず全ての山岳ファンに謝りたい。

  

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大天井岳山頂・大天荘より朝焼けを臨む(2017年7月)

 

人はなぜ、山に登るのか。

 

チョモランマを目指し消息を絶ったイギリスの登山家、

ジョージ・マロリーがそれを問われたとき、

「そこに山があるからだ」と答えたのはあまりにも有名な話だ。

 

この言葉、美談じみた名言として世に残っているが、

実は質問に対して何も答えていない。

これほど漠然とした受け答えがあるだろうか。

たぶん、本人ですら理由なんて分かっていない(考えてすらいない)可能性が高い。

 

唐突だが、

我々は毎回、山行に飯ごうと鍋を持ち込んで、自炊をしている。

 

時にはひいひい言いながら機材と食材を背負って、

標高2500mの山頂付近で地上さながらのカレーを作ってみせ、

山小屋のあんちゃんに「頭おかしいのか」と呆れられたこともある。

 

ちなみに山行には毎回、ペットボトルに焼酎と水、

それぞれ二本分をたっぷり入れて持ち込む。

山頂でどうしても水割りを飲みたいからだ。

 

荷物の軽量化が鉄則の登山において

なぜそんなことを。

 

たぶん、マロリー同様、答えなんてないのだ。

 ただ、そこで食える”ヤマメシ”がたぶん、最高にうまいのでは、

という推測と期待の元、毎回、やってしまっている。

そして確実にうまいのでまたやってしまう。 

 

このスパイラルは何なのか。 

 

山が好きで野営が好きで、

そこで作る山メシが最高で、

でも結局はそのシチュエーションで飲みたいだけで、

それをやるとしたら山に登るしかなくて、結果登っている、

ということなのだと思う。

 

毎回、安全が確保できる程度のギリギリの重量とのせめぎ合い。

食欲と登山欲の絶妙なバランスを目指している。

 

ここでは、

そんな我々の過去、現在の登山体験と野営、

キャンプ、山メシ、登山情報、気の向くままに記録として残す。

 

そして、、いつかモチベーションそのままに、

キリマンジャロの登頂を夢みて。